缶バッチの印刷方法について
缶バッジを作るにあたって、印刷方法は重要ですね。お客様のオリジナルのデザインをなるべく綺麗に印刷するために弊社では様々な印刷方式を採用しています。缶バッジファクトリーさんではどのような印刷機を使っているのですかというご質問はご注文前に必ず聞かれることです。そのような印刷方法があるのかはとても気になる内容です。そこで今回は缶バッチのさまざまな印刷方法について解説していきたいと思います。
缶バッジの印刷方法は大きく分けると、ブリキへ直接印刷するか、紙に印刷してその紙を巻き込んで作るか、ということになります。ブリキのダイレクト印刷は昔からある方法でブリキの板にオフセット印刷機や、シルク印刷機で印刷します。オフセット印刷とは一般的な印刷方式でご自宅にあるチラシやパンフレットなどはほとんどこの印刷方式になります。TVのCMなどで観るネット印刷会社ではオフセット印刷機を使って営業しています。また、シルク印刷はちょっと特殊な印刷方式で1色~3色程度の比較的色数が少ない印刷に向いていて会社のロゴマークや商品ロゴマークなどの印刷が多くなっています。
ブリキの直接印刷の缶バッジ
ブリキの直接印刷はブリキダイレクト印刷とも呼ばれています。これは薄くて平らなブリキの鋼板(スチール合金)にオフセット印刷機やシルク印刷機で印刷しています。デザインはフルカラーのものが多いので主にオフセット印刷機を利用することが多いですが、色数が少なかったりインクが盛られた感じなどの効果を出したいときはシルク印刷機を利用することもあります。印刷されたブリキの板に高い圧力でプレスして型を抜いていきます。これが缶バッジの上のフタ部分になります。そしてその上蓋にピンが付いた裏蓋を合わせて圧力をかけて再度プレスして缶バッジを製造しています。
ブリキ直接印刷の缶バッジの特徴としては、シワが全くないことです。上の写真はブリキの直接印刷で製造した缶バッチです。曲線の部分のどこにもシワが見えませんね。写真ですと下側ですが上蓋に直接印刷するのでブリキの板を押し出し加工やプレス加工しても缶バッチのフチにシワができません。昔は企業のノベルティや大量に作成する販促品は直接印刷がほとんどでした。
日本でもブリキのダイレクト印刷で加工を行う業者様は結構ありますが、コストの優位性で中国へ生産を委託されることが多かったのです。紙巻き込み式のところでも書いていますが、今では内職さんへ作業を委託することで日本国内生産が増えてきています。
以前は印刷した時に上からニスを塗る(ニス引きといいます)ことで印刷面に光沢を出していましたが、印刷してインクが乗っただけの少しマットな感じも好まれるようになってニス引きも少なくなってきています。パンフレットの印刷などもそうなのですが、昔はピカピカの光沢のあるPP加工(印刷面に光沢を出すためにポリプロピレンというフィルムを貼ることです。)がもてはやされましたが、最近では落ち着きのあるマットのPP加工を好まれる方が増えてきました。さらに、紙巻き込み式に押されてきてブリキの直接印刷による缶バッジの印刷は減ってきているようです。
紙巻き込み式印刷の缶バッチ
一方、紙巻き込み式は多くの缶バッジ製造業者が採用している仕様になります。缶バッチの蓋をくるむように作るので「くるみ式」とも呼ばれています。お客様が缶バッジを作ろうとインターネットで検索して探したお店のほとんどはこの紙巻き込み式で缶バッチを印刷しています。紙巻き込み式の利点は缶バッジのパーツの構成、缶バッジマシンの構造の簡単さや扱いやすさ等があり、10年以上前から急速に増えてきました。もちろん弊社でも主にこの紙巻き込み式で印刷しています。
別の呼び方としては「化粧紙印刷」とも言われていましたが、今ではプリンタ専用用紙なども使って印刷するためちょっと古臭い言葉になりました。紙巻き込み式は、デザインを紙に印刷して、それを缶バッチの形状にカットして上蓋の上に原稿と厚手のPETフィルムを重ねて上からプレスして作成します。構造は簡単なのですが、印刷機械や印刷用紙の選び方などでそれぞれの缶バッチ製作業者様のコダワリやセンスなどが見える部分があります。従いまして弊社でもかなりこだわりを持って機器や用紙を選んで使用しています。
紙巻き込み式の缶バッジの印刷方法の数々
紙巻き込み式の缶バッジは沢山の製造業者様がありますので、印刷方法もさまざまです。主な種類としては以下の3種類に分けられるかと思います。どの印刷方式もメリット・デメリットがあります。
オフセット印刷機
ブリキの直接印刷でもそうですが、紙巻き込み式の缶バッチでもオフセット印刷機が使われています。主に10,000個以上の大量の製作の時やアニメキャラクター等の版権元の指定印刷方式になっていたりします。大量に生産するということもありますが、原稿の色に忠実に合わせていきたいという目的もあります。オフセット印刷は缶バッジの印刷の主流にもなっています。短納期やクオリティ向上の要望が背景で、中国への生産委託は減ってきていて逆に日本国内にで内職さんへ生産委託する方が増えています。5万個、10万個といった案件は昔は中国へ生産を委託していましたが、今では国内で行うことも多く、大量の数の缶バッチを数十人の内職さんへ生産委託して一気に仕上げてしまうこともあるようです。弊社でもキャラクターものの缶バッジはオフセット印刷で製作することもあります。国内で印刷して国内で生産しています。やっぱり国内生産と聞くとお客様も安心されるようですね。
インクジェット印刷機
インクジェット印刷機は弊社では以前使っていた方式になります。染料と顔料のインクがあり、染料は発色が凄く良いのですが、水性のため雨に濡れるとインクが滲んでしまいます。弊社では初めは発色の良い染料インクを使っていましたが、雨で印刷面が滲んでしまう等のクレームが発生してからはすぐに顔料インクに変更しました。顔料インクは発色は割と抑え目ですがなんといっても耐水性の良さが気に入ってました。会社で作業していて缶バッジの印刷原稿を誤ってジーンズのポケットに入れたまま洗濯してしまったのですが、ほとんど色が落ちてないほどの耐水性で驚いたことを今でも覚えています。顔料インクってホント凄いんです(笑)しかし、インクジェットのプリンターは安価で便利なのですが、色の安定性が良くありませんでした。10枚目と20枚目の色の濃さが違っていたり、昨日と今日の色が変わっていたりと色の調整に苦労しました。今は缶バッジでは使わなくなりましたが、キーホルダーやストラップのドームタイプの作成用に使っています。
オンデマンド印刷機
これは弊社が現在採用している印刷機です。発色の良さや印刷スピードの速さで採用を決めました。インクジェットのように水分が染み込むことがないので、錆び防止のフィルムを挟む必要がなくなりコストの面でも助かっています。インクジェットのプリンターで半日かかっていた印刷作業が1時間かからない程度になったのでかなり効率化しました。効率が良くなったことで缶バッジの製作単価も下げることができました。発色の良さや安定性も高いのでお客様にも喜んで頂いています。
弊社では、オンデマンド印刷をメインとし、お客様のご要望や印刷枚数などに応じてオフセット印刷を使用しています。